このページの要点
- キャンセル料は、撮影費・手配先費用・利用料などの費目ごとに、時期の区分を分けて算定し、合算する。
- 消費者契約法9条1項1号は、解除の事由・時期等の区分に応じた平均的な損害の額を超える部分を無効とする。
- 日数は、起算日・暦日・意思表示が到達した時(民法97条1項)を基準に、書面で明記する。
- 遅刻や無断欠席の当日取消し扱い、返金手数料の控除は、実施できたときの精算や実費との対応を考える。
結論:キャンセル料は、費目ごと・時期ごとに組み立て、根拠を説明できる形にする
前撮りやロケーション撮影のキャンセル料を考えるときに、まず押さえたいのは、パッケージの代金が性質の違う費用の集まりだということです。撮影そのものの対価は、撮影者の枠を確保したことに対する費用です。衣装やヘアメイクは、手配先に発注した時点から、手配先の規定にしたがって費用が生じます。装花や会場、移動手段は、さらに別の事情で費用が発生します。これらを一つの割合表に押し込めると、実際の損害より多い額を請求することにも、少ない額しか回収できないことにもなりがちです。
そのため、一般的な設計は次のとおりです。
- 代金を費目に分け、費目ごとにキャンセル料の発生する時期の区分を定める。
- 日数の数え方(起算日、暦日、通知の到達の時点)を明確にする。
- 無断欠席や遅刻をどう扱うか、その限界を考える。
- 返金時の事務手数料の控除は、実費に対応する範囲で、例外を設けて書く。
- お客様から求められたときに、算定の根拠を説明できるよう準備する。
これらは、消費者契約法9条1項1号が求める「同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額」を超えないことの、実務上の裏付けになります。キャンセル料の設計は、割合や日数を決める作業というより、自分の事業でキャンセルによって何が失われ、何は回復できるのかを整理する作業です。
契約の入口の書類はサイトの入口のページ、予約金の性質や残金の期限は予約金・残金のページ、プランの内訳とオプションの返金はパッケージ料金と追加オプションのページで扱い、このページはキャンセル料の算定の設計に絞ります。天候による中止は荒天のページで、日程変更とあわせて扱います。
消費者契約法9条1項1号の枠組み:平均的な損害とは何か
お客様が個人の消費者であれば、キャンセル料の定めは消費者契約法9条1項1号の対象になります。同号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものについて、その超える部分を無効とするものです。
条文をていねいに読むと、実務上の示唆が三つ読み取れます。
- 「解除の事由、時期等の区分に応じ」:平均的な損害は、区分ごとに考えます。撮影日の直前のキャンセルと、早い時期のキャンセルでは、事業者に生じる損害が異なるため、区分を分けて、それぞれの額を判断することになります。
- 「同種の消費者契約の解除に伴い」:個々のお客様の事情ではなく、同種の契約を平均してみたときの損害を基準にします。
- 「合算した額」:損害賠償の予定と違約金を併せた合計額が基準になります。名前を分けても、合計で超えれば超える部分は無効になります。
民法の考え方としては、当事者は債務の不履行について損害賠償の額を予定でき(民法420条1項)、違約金は賠償額の予定と推定されます(同条3項)。通常は、債務不履行による損害賠償は、通常生ずべき損害を対象とします(民法416条1項)。キャンセル料の定めは、こうした民法上の賠償額の予定の一種として理解でき、消費者契約では、9条1項1号が上限を定めている、という構造です。
契約の性質上、撮影のような役務の契約では、注文者が仕事の完成前に損害を賠償して契約を解除できるという民法641条(請負)や、委任をいつでも解除できるとしつつ(民法651条1項)、相手方に不利な時期に解除したときなどの同条2項各号の場合に限り、やむを得ない事由があったときを除いて相手方の損害を賠償しなければならないとする民法651条(準委任は同法656条)の考え方が背景にあります。キャンセル料は、この「損害を賠償して解除する」ときの賠償の額を、あらかじめ契約書面で決めておくものと位置づけられます。
では、平均的な損害の中身は何でしょうか。一般的な整理では、キャンセルによって事業者に生じる損害の要素は、おおむね次のようなものです。
キャンセルで生じる損害の要素
| 要素 | 内容 | 時期との関係 | 注意 |
|---|---|---|---|
| すでに支出した費用 | 手配先への発注によって生じた費用、準備のために使った費用。 | 撮影日が近づくほど増える。 | 手配先に実際に支払った額か、支払う義務を負った額かを区別する。 |
| 他の予約で埋められなかった損失 | キャンセルによって空いた枠が、他のお客様で埋まらなかったことによる損失。 | 早い時期のキャンセルほど、他のお客様で埋めやすく、損失は小さい。 | 繁忙期と閑散期で、埋めやすさが違う。 |
| 拘束した人員・機材の費用 | 撮影者やスタッフの枠を確保したことに伴う費用。 | 直前ほど、他の仕事に振り替えにくい。 | 固定費の按分をどこまで含めるかは、説明可能な範囲に限る。 |
| 事務手続きの費用 | キャンセルの処理、返金の手続きにかかる実費。 | 時期に関係なく生じる。 | 実費を超える額を一律に取ると、別の問題になる。 |
この整理は、損害の算定の「見取り図」であって、各要素の額の出し方まで決めるものではありません。大切なのは、自分の事業の実情に合わせて、各時期の区分ごとに、どの要素がどの程度含まれるのかを説明できることです。説明できない割合は、一般的な業界の慣行に沿っていても、根拠を問われたときに苦しくなります。
費目を分ける設計:撮影費と手配先の費用
パッケージを費目に分けて考えると、キャンセル料の区分を、それぞれの費目の性質に合わせられます。ここでは、一般的に用いられる費目の分け方と、それぞれの区分の考え方を示します。割合と日数は、事業ごとに異なるため、「○日前」「一定の割合」と伏せています。
費目ごとのキャンセル料の設計
| 費目 | 費用の性質 | 区分の置き方の例 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 撮影費(撮影者の枠、編集) | 撮影者の枠の確保。直前ほど他の仕事に振り替えにくい。 | 撮影日が近づいてから段階的に割合を上げる。早い時期は発生しないか、低い割合にとどめる。 | 編集の着手前に限る、など編集費用の性質に合わせる。 |
| 衣装・小物 | 手配先への発注、貸出し枠の確保。手配先の規定に左右される。 | 手配先の規定にもとづき、撮影日のかなり前から割合が発生することがある。 | 手配先の規定をお客様に交付し、費用が実際にその区分で生じることを説明できるようにする。 |
| ヘアメイク・装花 | 施術者の枠、花材の仕入れ。 | 花材は仕入れの後は転用しにくい。仕入れ前と後で区分を分ける。 | 花材の仕入れ日を記録し、区分と結びつける。 |
| 会場・移動手段・許可 | 予約の確保、利用料。 | 管理者のキャンセル規定に応じる。 | 管理者の規定が、お客様に対する額と食い違わないか確認する。 |
| 追加オプション | 手配済みかどうかで費用の発生が決まる。 | 手配前は返金、手配済みは返金しない。 | 手配済みの定義は、オプションのページで整理している。 |
費目を分けると、同じ日付のキャンセルでも、費目ごとに別の割合が適用されます。そのため、算定の方法を契約書面に書いておく必要があります。多くの規約は、「費目ごとに個別に算定した上で合算し、代金総額に対して一律に適用するものではない」と書きます。この一文があるだけで、お客様は、なぜ撮影費と衣装費で割合が違うのかを理解しやすくなります。
条文例費目ごとの算定
- キャンセル料は、次の各号の費用区分ごとに、お客様のキャンセルの意思表示が当社に到達した時を基準として、それぞれ個別条件表に定める区分により算定し、その合計額とする。
(1)当社の撮影、編集その他当社が自ら提供する業務の費用
(2)衣装、ヘアメイク、装花その他当社が第三者に委託し、または手配する費用
(3)会場、移動手段その他の利用料 - 前項の区分は、代金総額に対して一律に適用するものではない。
- 第三者に委託し、または手配する費用のうち、すでに発注、手配または準備が完了しているものについては、当該第三者に実際に生じた費用の範囲で負担していただくことがある。
- 本条のキャンセル料は、同種の契約の解除に伴い当社に生ずべき平均的な損害の額(当社が手配先に支払うべき費用を含む。)を超えない範囲で定めたものである。
条文の書き方の例です。最後の項は、算定の根拠が平均的な損害の範囲(手配先に支払うべき費用を含む)に収まる旨を宣言する定めです。宣言だけでは根拠になりません。実際の算定が裏付けになっていることが前提です。
手配先の規定を引用する場合、それをお客様に交付していなければ、お客様は「聞いていない」と主張できます。手配先の規定に連動させる設計にするのであれば、申込みの前にその規定を示し、同意を得る手続きが必要です。この点は提携先との責任分担のページで、規約の取り込み方として詳しく扱います。
日数の数え方:起算日、暦日、通知が届いた時点
キャンセル料は、「撮影日の○日前から」という区分で決まります。そのため、何日前にキャンセルしたことになるのかを決める数え方が、請求額に直結します。数え方があいまいなままだと、「前日の夜にメッセージを送ったから前日のキャンセルだ」「受信したのは翌朝だから当日のキャンセルだ」といった争いが生じます。
日数の数え方の論点
| 論点 | よくある書き方の違い | 整えた書き方の例 |
|---|---|---|
| 起算日 | 「撮影日の前日」を1日前とするのか、撮影日を0日前とするのか。 | 「撮影日の前日を起算日とし、暦日で数える」のように、起算日を明記する。 |
| 暦日か営業日か | 土日祝日を除いて数えるのか。 | 「日数は、日本標準時における暦日で数える」のように、暦日で統一する。 |
| 基準となる時点 | キャンセルの連絡を送った時か、届いた時か。 | 「キャンセルの意思表示が当社に到達した時を基準とする」と書く。到達の方法(メール、メッセージ、電話)ごとに、確認できる時点を決める。 |
| 営業時間外の連絡 | 夜間・早朝に届いた連絡を、その日の扱いにするのか、翌営業日の扱いにするのか。 | 「営業時間外に到達した連絡は、到達した日の連絡として扱う」など、営業時間外の扱いを定める。 |
| 電話のみの連絡 | 電話では記録が残らない。 | 電話の場合は、その後のメッセージで記録を残すよう案内する。 |
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる、というのが民法の原則です(民法97条1項)。この原則と整合するよう、キャンセルの意思表示が事業者に到達した時を基準にする書き方が、一般に採られます。契約書面でこの原則を確認的に書いておけば、「送った時」と「届いた時」の食い違いを防げます。
キャンセルの時期区分の例(日数・割合は伏せています)
- 撮影日の○日前より前キャンセル料が発生しない、または低い割合の区分。手配先への発注が進む前の時期。手配先の規定を確認して区分を置く。
- 撮影日の○日前〜○日前手配先の費用が発生し始める区分。衣装・ヘアメイクの区分が、撮影費より早く始まることがある。費目ごとの区分を分ける。
- 撮影日の○日前〜前々日撮影費の割合が段階的に上がる区分。直前ほど、他の予約で枠を埋めにくい。
- 撮影日の前日高い割合の区分。前日は準備が完了しており、損害が大きい時期。
- 撮影日の当日全額に近い区分。無断欠席・遅刻の扱いは、次の節で整理する。
各区分の割合は、事業ごとの損害の実情に応じて設計します。ここでは時期の区分の組み立て方だけを示しています。
無断欠席・遅刻を「当日キャンセル」として扱う条項の限界
撮影当日に連絡なく来場しない場合や、遅刻が大きく撮影が成り立たない場合に、これを当日のキャンセルとして扱う条項は、よく見られます。事業者にとっては、枠が空いたまま取り戻せない損害があり、こうした定めには合理性があります。ただし、書き方によっては、実際の損害を超えたり、不均衡と評価されたりするため、限界を意識して書く必要があります。
第一の限界は、「実施できたのに全額を取る」ことです。遅刻はあったが撮影は実施できた場合、事業者は、短縮された時間分の撮影を提供しており、損害は撮影の全部ができなかった場合より小さいはずです。それなのに、遅刻を一律に当日キャンセルと扱い、実施した部分の対価まで取るような書き方は、過大と評価されるおそれがあります。撮影が実施できた場合は、実施した範囲での精算を基本にし、実施できなかった場合に当日キャンセルの区分を適用する、という整理が穏当です。
第二の限界は、判断基準のあいまいさです。「遅刻により撮影の開始または継続が困難であると当社が合理的に判断したとき」という書き方は、一定の基準を示してはいますが、その判断の中身が見えません。判断にあたって考慮する事項(撮影時間、ロケーションの条件、天候、日没の時刻、次の予約など)を列挙し、事前に集合時刻と遅刻の連絡方法を案内しておくと、運用が安定します。
第三の限界は、遅刻の事情への配慮です。交通機関の遅延や体調不良など、お客様の責めに帰すことが適切でない事情で遅れた場合に、一律に当日キャンセルと扱うと、不当と受け取られやすくなります。事情に応じた柔軟な対応を行うことがある旨を書いておくことには、運用上の意味があります。
書き方の例(一般的な例) 無断欠席・遅刻の書き方
無断欠席
理由「一切の返金をしない」と書くのではなく、当日のキャンセルの区分に結びつけて、算定の根拠を共通にする。
遅刻
理由判断の考慮事項を示し、実施できたときは別の精算を基本にする。
時間短縮
理由納品点数の減少は事実として伝えつつ、事業者側の原因による場合は除く。
返金時の事務手数料の控除:実費に対応する範囲で書く
お客様都合のキャンセルで返金が生じるとき、返金額から決済手数料や事務手数料を差し引く定めは、よく見られます。クレジットカード決済の手数料や、返金の振込にかかる手数料は、事業者が実際に負担している費用です。これを控除すること自体は、合理性があります。
ただし、書き方には注意が必要です。決済額の一定割合を、決済手段にかかわらず一律に控除すると定めると、銀行振込で受け取った場合のように実際には手数料がほとんど生じていないときまで、割合で控除することになります。実費を超える額の控除は、キャンセル料の一部と評価され、消費者契約法9条1項1号の対象になり得ます。そのため、次の点を整理しておくと、説明が可能になります。
- 決済手段ごとに、事業者が実際に負担する手数料を把握し、控除する額がそれに対応しているか。
- 決済手段によって控除の率を変えるか、一律にするのであれば、その理由は何か。
- 事業者の責めに帰すべき事由や、不可抗力による中止の場合は、控除しない旨を明記しているか。
- 返金のための振込手数料は、誰が負担するのか。お客様の都合による返金か、事業者の事情による返金かで分けているか。
書き方の例(一般的な例) 返金手数料の書き方
控除の対象
理由実費に対応させると、算定の根拠を説明しやすい。
例外
理由事業者の事情による中止まで控除すると、不均衡と評価される。
銀行振込の返金で、お客様から「口座情報の提出が遅れた」ために返金が遅れる、という場面もあります。返金の手続きの開始時期(返金事由が確定し、必要な情報を受領した日から○営業日以内など)を書いておくと、事業者の責任の範囲が明確になります。
算定根拠を説明できるようにする:お客様から求められたとき
消費者契約法9条2項は、事業者が、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める条項にもとづいて請求する場合に、消費者から説明を求められたときは、算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないと定めています。努力義務ですが、条項の合理性を実務の上で支える規定です。また、適格消費者団体は、条項が平均的な損害の額を超えると疑うに足りる相当な理由があるとき、事業者に対して算定根拠の説明を要請でき、事業者は営業秘密などの正当な理由がある場合を除き、これに応じるよう努めなければなりません(同法12条の4)。
説明に備えるために、あらかじめ整理しておく資料の例を示します。
算定根拠を説明するための資料
- 各費目について、手配先とのキャンセル規定(発注日、手配先がキャンセル料を請求する時期と割合)の写しや整理表。
- 撮影費について、撮影者の枠の確保のしかた、キャンセルで空いた枠が他のお客様で埋まる割合の実績の整理。
- 繁忙期と閑散期での損害の違いの整理。
- 各区分の割合を設計したときの考え方を示す、内部の整理資料。
- 返金手数料について、決済手段ごとの実際の手数料率の資料。
- 個別のキャンセルについて、キャンセルの連絡の到達時点の記録、手配先への費用の支払記録。
これらの資料は、お客様に開示するかどうかとは別に、条項を設計した事業者が自分で確認するための資料でもあります。説明を求められたときに、概要を示せるようにしておくことが、条項への信頼にもつながります。
確認の問いと理由キャンセル料の条項を見直す問い
費目ごとに、時期の区分と割合を分けているか。
費目の性質が違えば、損害の発生する時期も違います。
代金総額に一律に割合を掛ける書き方になっていないか。
費目ごとの算定を合算する方式を、書面で明らかにします。
日数の起算日、暦日か営業日か、基準の時点(送った時か届いた時か)を書いているか。
一日の差が、区分と額を変えます。
手配先のキャンセル規定にもとづく区分は、お客様に交付し、同意を得ているか。
見たことのない規定にもとづく請求は、納得を得にくくなります。
無断欠席・遅刻の定めは、実施できたときの精算を別に考えているか。
実施した部分まで取る書き方は、過大と評価されるおそれがあります。
返金手数料は、実費に対応しているか。不可抗力や事業者の事情の場合の例外はあるか。
一律の控除は、実費を超えるおそれがあります。
お客様に求められたとき、算定の根拠の概要を説明する資料は用意しているか。
説明の準備が、条項の合理性を支えます。
条項を新しく作るときも、既存の条項を見直すときも、まずこの問いを順にあたると整理しやすくなります。
起きがちなこと:キャンセル料をめぐる場面
起きがちなこと
- 代金総額に一律の割合を掛けるキャンセル料にしたため、手配先の費用がほとんど発生していない時期でも、撮影費に対して高い割合になっていた。
- 手配先の規定にもとづくキャンセル料を請求したが、その規定をお客様に交付しておらず、「見ていない」と言われて請求の根拠が示せない。
- 「送った時」を基準にするのか、「届いた時」を基準にするのか決まっておらず、前日の深夜のメッセージが前日の扱いか当日の扱いかで争いになる。
- 遅刻はあったが撮影は実施できたのに、当日キャンセルとして全額を請求した。
- 返金手数料を決済手段にかかわらず一律の割合で控除したため、実際の手数料との差が指摘された。
- 天候による中止の返金から、事務手数料を控除してしまい、お客様に不満を持たれた。
- 手配済みオプションの返金不可を主張したが、手配の記録がなく、説明できなかった。
- キャンセル料の割合の根拠を尋ねられたが、説明の資料がなく、回答が遅れて不信感を招いた。
よくあるご質問
キャンセル料は、パッケージの総額に割合を掛けて決めてもよいですか。
書き方としては可能ですが、費目ごとに費用の発生する時期が違う撮影パッケージでは、総額に一律の割合を掛ける方式は、実際の損害と合わなくなりがちです。撮影費と、衣装・ヘアメイクなどの手配先の費用を分けて、それぞれ時期の区分を定め、算定した額を合算する方式のほうが、平均的な損害の範囲に収まることを説明しやすくなります。
消費者契約法9条1項1号の「平均的な損害」は、どのように考えればよいですか。
同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき損害の平均を、解除の事由や時期などの区分に応じて考えるものです。すでに支出した費用、他の予約で埋められなかった損失、拘束した人員・機材の費用、事務手続きの費用などが要素になります。区分ごとにどの要素がどの程度含まれるのかを、事業者が説明できることが重要です。
キャンセルの日数は、どのように数えるのが分かりやすいですか。
起算日(たとえば撮影日の前日)、暦日で数えるか営業日で数えるか、基準の時点(意思表示が事業者に届いた時。民法97条1項)を、契約書面で明記するのが分かりやすい方法です。営業時間外の連絡の扱いや、電話のみの連絡の場合の記録の残し方も、あわせて決めておくと、争いが減ります。
遅刻や無断欠席を当日キャンセルとして扱うことはできますか。
連絡なく来場がなく連絡も取れない場合など、撮影が実施できなかったときに当日のキャンセルの区分を適用することには合理性があります。一方、遅刻があっても撮影が実施できた場合に、実施した部分まで含めて全額を請求する書き方は、過大と評価されるおそれがあります。判断の考慮事項を示し、実施できたときは実施した範囲での精算を基本にするのが穏当です。
返金のときに、事務手数料を差し引いてもよいですか。
決済手数料や振込手数料など、事業者が実際に負担する費用に対応する額の控除には合理性があります。決済手段にかかわらず一律の割合で控除する書き方は、実費を超えるおそれがあるため、算定の根拠を説明できるようにします。事業者の責めに帰すべき事由や、天候その他の不可抗力による中止のときは、控除しない旨を書くのが一般的です。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の撮影サービスへの当てはめは、プランの内容や手配先との契約の仕組み、申込みの経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や契約を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会 / 文化庁