このページの要点
- 撮影会社の掲載と、手配先の掲載は別の同意にする。手配先への写真の提供は、第三者提供にあたる場合が多い(個人情報保護法27条1項)。
- 媒体・目的・期間・加工の範囲を特定する(17条1項・18条1項)。承諾しなくても提供内容と料金に差を付けない。規約への包括的な同意に埋め込むのは避ける(民法548条の2第2項)。
- 同行者が写る場合は、お客様の同意では足りない。事前の案内、当日の確認、掲載カットの選び方を組み合わせ、未成年者は親権者などの同意を確認する。
- 削除の依頼は、窓口・期限・対応できない範囲を先に示す(35条)。手配先が独立して使う場合は、責任の主体と再提供の禁止を手配先との取り決めに入れる。
結論:掲載の同意は「誰が・何に・いつまで・どう加工して」を特定し、撮影会社と手配先を分けて取る
撮った写真を、ホームページやSNS、広告、パンフレットに実績として載せたい。これは、撮影サービスを営む側の自然な希望です。一方、写っているのは、人生の節目を迎えた二人とその家族・友人です。載せるかどうか、どこに載せるかは、お客様が決める事柄です。さらに、衣装店、ヘアメイク、装花、会場といった手配先も、自社の宣伝のために写真を使いたいと考えることが多く、同意の取り方が一段複雑になります。
この複雑さへの対応で、広く使われているのが「二段階の同意」です。撮影会社による掲載と、手配先による掲載を、別々の選択肢にして、お客様がそれぞれ「承諾する」「承諾しない」を選べるようにします。さらに、媒体・目的・期間・加工の範囲を特定して書き、同行者が写る場合や、撮影後に削除を求められた場合の扱いも決めておきます。
このページは、一般的な条文と書き方の整理です。個別の運用への当てはめは、サービスの仕組みによって異なります。写真の著作権とお客様が使える範囲は結婚写真の著作権と使える範囲で、撮影前に集める個人情報の全般は撮影サービスの個人情報で、手配先との責任分担は衣装・ヘアメイク・装花の提携先との責任分担で扱います。ここでは、掲載の同意に絞ります。
先に結論を並べます。
- 撮影会社の掲載と、手配先の掲載は、別々の同意にする。手配先は独立した事業者で、写真の提供を受けて自社のために使うので、第三者への提供にあたる場合が多い(個人情報保護法27条1項)。
- 同意の根拠は、肖像と個人情報に分けて整理する。人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されない人格的利益を法律上保護されるとされ(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決)、顔が写る写真は個人情報でもある。利用目的の範囲を超える利用には本人の同意(個人情報保護法18条1項)、手配先への提供には第三者提供の同意(同法27条1項)が要る。
- 同意の中身は、媒体・目的・期間・加工の範囲で特定する。「宣伝目的で利用する場合がある」だけでは、何に同意したのかが分からない。
- 同意しなくても、サービスの内容や料金に差を付けない。差を付けるなら、モニターとして料金を下げるなど、対価としての掲載を、別の型として明示する。
- 同行者(家族・友人・子ども)が写る場合は、お客様の同意では足りない。お客様が同行者に代わって同意できるとは限らない。事前の案内と、写る範囲の工夫を組み合わせる。
- 削除の依頼には、受け付ける窓口と、対応できない範囲を先に示す。印刷物、配布済みの販促物、第三者の転載は、回収や削除が難しい。
- 手配先が独立して使う場合は、その責任の主体を書く。手配先が自己の責任で使い、再提供しないことを、手配先との取り決めで担保する。
同意の仕組みを決める前に、手元に置くもの
- 掲載したい媒体の一覧(自社のホームページ、SNS、有料広告、印刷物、ポートフォリオ、応募・展示 など)
- 手配先が掲載を希望している媒体と、写真の受け渡し方法(データを渡すのか、リンクで共有するのか)
- 申込書、規約、重要事項説明書、同意書のうち、掲載について触れている部分
- 現場に同行者がどの程度参加するか(家族だけか、友人・子ども・ペットも加わるか)
掲載に関わる人を並べる:写真が誰から誰へ渡るか
掲載の同意を設計するときは、写真が誰から誰へ渡り、誰が自分の責任で使うのかを、先に並べて考えます。「撮影会社が載せる」場合は、撮影会社の中で完結します。ところが、手配先が自社のホームページに載せる場合は、撮影会社から手配先へ、写真のデータが渡ります。ここが、個人情報の第三者提供の問題と、著作権の許諾の問題が重なる場面です。
写真が渡る流れと、それぞれの場面で必要になる同意
「撮影会社の掲載」は撮影会社が自ら使う場面ですが、「手配先の掲載」は、写真のデータが別の事業者に渡る場面です。二つを一つの同意欄にまとめると、お客様が何に同意したのか分からなくなります。
撮影者の許諾も忘れずに確認します。撮影者が著作権を持つ場合、撮影会社が自社の媒体に載せる権利も、撮影者から許諾を受けている必要があります。手配先への提供は、さらに、その許諾が手配先への再許諾まで含むかを確かめます。許諾の連鎖は撮影者に撮影を任せる契約で扱います。
二段階の同意の組み立て:選択欄、説明、選ばなかったときの扱い
二段階の同意は、書面やフォームの中に、二つの選択欄を置く形が一般的です。一つは「撮影会社による掲載」、もう一つは「手配先による掲載」です。それぞれ、「承諾する」「承諾しない」のどちらかを選びます。選択欄の前後に、次の説明を置きます。
- 何を載せるか(撮影した写真、動画、その一部)
- どこに載せるか(媒体の種類。自社のホームページ、SNS、広告、パンフレットなど)
- 何のために載せるか(実績の紹介、サービスの案内、広報)
- いつまで載せるか(期間。または削除の申出があるまで)
- どう加工するか(トリミング、色味の調整、サイズ変更など。顔や体型を変形する加工は行わない)
- 誰が載せるか(撮影会社、手配先の名称または種類)
- 承諾しなくても、サービスの内容や料金に変わりはないこと
- 後から削除を求められること、その窓口、対応できない範囲
「承諾しなくても内容や料金に変わりはない」という一文は、実績掲載の同意を、サービスの提供の条件にしないための大切な記載です。個人情報保護法は、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱う場合、あらかじめ本人の同意を得ることを求めています(18条1項)。実績掲載のための顔写真の利用は、通常、サービスの提供そのものに必要な範囲とはいえないので、同意を取る形にします。その同意が、サービスを受けるための事実上の条件になっていると、同意の自発性が疑われます。承諾の有無で提供内容に差を付けない運用が、同意の有効性を支えます。
申込書や規約の中に「実績掲載に同意するものとします」と書き込んで、規約全体への同意で済ませる方法もあります。ただし、規約の中の条項は、定型約款として、相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)。掲載は、お客様の容貌に関わる利用です。規約への包括的な同意に埋め込むより、独立した選択欄で、個別に確認するほうが、安全です。
掲載同意の型の比較
通常の選択式
掲載は任意で、承諾しない選択肢を用意する
- 二段階(撮影会社・手配先)の選択欄を置く
- 承諾の有無で、サービスの内容や料金に差を付けない
- 最も一般的で、同意の有効性を説明しやすい
対価付きの掲載(モニター型)
掲載を条件に、料金を下げる、または特典を付ける
- 掲載が対価であることを、料金の説明と同じ場所に書く
- 掲載の範囲、期間、撤回の可否を、通常の型より具体的に書く
- 途中で撤回したときの、料金の扱いを決める
包括同意(避けたい型)
規約への同意で、掲載に同意したものとみなす
- 何に同意したのかが、お客様に伝わりにくい
- 定型約款の不当条項の問題になり得る(民法548条の2第2項)
- 撤回や削除の窓口が不明確になりやすい
三つのうち、お客様への説明が最も容易なのは通常の選択式です。モニター型を使う場合は、通常の選択式と並べて、選べるようにします。
同意を取る手段と、記録の残し方
同意の取り方は、紙の同意書、電子フォームのチェック欄、メッセージでの返信など、いくつかの方法があります。どの方法でも、後から「いつ、どの内容に、誰が同意したか」を示せるようにしておくことが大切です。電子フォームを使う場合は、承諾の欄に初めからチェックが入っている状態を避け、お客様自身が選ぶ形にします。初期値が「承諾する」になっていると、選んだ意思があったのかを説明しにくくなります。同意の日時、同意した版の文面、選択の内容を、申込みの記録とあわせて保存します。
もう一つの工夫が、掲載の前の確認です。申込みのときに「掲載を承諾する」を選んだお客様でも、実際に撮れた写真を見たときの気持ちは、撮影前と違うことがあります。特定の写真を広告や大きな掲載に使う前に、「この写真を載せてよいか」を個別に確認する運用にすると、後の削除の依頼が減ります。これは法律上の義務ではありませんが、同意の実質を保つ運用として、広く行われています。
申込時の包括的な承諾と、掲載直前の個別確認を組み合わせるかどうかは、掲載の規模によって決めます。小さなSNS投稿は包括的な承諾で足り、広告や印刷物のように、回収しにくい媒体は個別の確認を加える、という使い分けが考えられます。
同意の中身を特定する:媒体・目的・期間・加工
選択欄の前後に置く説明を、条文にした書き方の例です。四つの要素ごとに、よくある書き方と、整えた書き方を対比します。
書き方の例(一般的な例) 掲載同意の書き方
媒体
理由「その他の媒体」は範囲が無限に広がる。列挙して、第三者の媒体(雑誌、他社のサイト)は別に承諾を取る、と書く
目的
理由目的を特定しないと、利用目的の特定(個人情報保護法17条1項)が不十分になる
期間
理由無期限だけだと、後で削除を求められたときに、争いが生じやすい
加工
理由加工の範囲を示すと、お客様の不安が減る
特定の情報
理由写真だけでなく、一緒に載る情報によって、個人が特定される範囲が変わる
条文例実績掲載の同意(書き方の例・一般的な例)
- 当社は、お客様が下記の欄で承諾した場合に限り、本件写真(その一部を含む。)を、当社のホームページ、当社が運営するSNSのアカウント、広告及び印刷物に、当社の実績の紹介、サービスの案内及び広報のために掲載する。
- 当社は、前項の掲載にあたり、トリミング、色味の調整、サイズの変更その他、掲載に必要な軽微な加工を行うことがある。当社は、顔や体型を変形する加工を行わない。
- 前項の掲載の期間は、○年とする。ただし、お客様から削除の申出があった場合は、第○項に定めるところによる。
- 当社は、掲載にあたり、お客様の氏名、住所、連絡先その他、お客様を特定できる情報を表示しない。ただし、お客様が希望した場合を除く。
- お客様が掲載を承諾しない場合であっても、本件サービスの内容及び料金は変わらない。
【掲載に関する同意】 撮影会社による掲載 [承諾する・承諾しない] / 手配先による掲載 [承諾する・承諾しない] のように、二つの欄を別々に置きます。
確認の問いと理由同意の中身を決める前の、確認の問い
手配先に渡す写真は、全カットか、選んだ数枚か。
渡す範囲が広いほど、同行者の写り込みや、掲載を希望しないカットが混ざる可能性が高い。手配先に渡す前に、撮影会社が選んで確認する運用が、事故を減らす。
手配先が写真を自社のSNSに載せるとき、お客様のアカウントに言及(タグ付け)してもよいか。
タグ付けや位置情報の表示は、個人の特定につながる。お客様が希望した場合に限る、と書いておくと、意図しない特定を避けられる。
掲載の期間は、どの時点から数えるのか。
撮影日からか、納品日からか、掲載開始日からかで、終わりの時点が変わる。起算点を書く。
広告(有料の出稿)に使うことを、通常の掲載と同じ欄にまとめてよいか。
有料の広告は、不特定多数への露出が大きく、お客様の受け止めも異なる。通常の掲載とは別の欄にして、選べるようにする運用がある。
動画・リール・広告に使うときの追加の注意
写真ではなく、動画やリール(短い動画)、広告のクリエイティブに使う場合は、写真の掲載に比べて、追加で決めておくことが増えます。動画には、お客様や同行者の声、会話の内容が入ります。顔だけでなく、音声も個人を識別する情報になり得るので、音声を使う場合は、その旨を同意の文面に書きます。また、動画にBGMや効果音を付けるときの楽曲の利用は、撮影会社の側の権利処理の問題で、お客様の同意とは別に整理します。
広告に使う場合は、有料の出稿を含むかどうか、出稿の期間、複数の媒体への展開をどう扱うかを、通常の掲載とは分けて書きます。広告は不特定多数に向けた露出が大きく、掲載の終了後も、キャッシュや第三者による保存が残る可能性があります。そのため、広告への使用は、通常の実績掲載とは別の選択欄にする、あるいは広告に使う写真だけ個別に確認する、といった運用が考えられます。
同行者が写るとき:家族・友人・子ども・ペット
前撮りやロケーション撮影は、新郎新婦だけで行うとは限りません。両親やきょうだい、友人、子ども、ペットが同行し、写真に写り込むことがあります。ここで注意したいのは、お客様の同意は、お客様自身の写真についての同意であり、同行者に代わって同意できるとは限らないことです。個人情報保護法の考え方では、顔が識別できる写真に写った人は、それぞれが本人です。同行者の写真を実績掲載に使うには、その同行者本人(未成年者の場合は、親権者などの法定代理人)の同意が基本になります。
実務の工夫は、次のとおりです。
- 事前の案内:申込みの時点で、「同行者が写る場合は、同行者の方にも掲載の可否を確認していただく」旨を、お客様に案内する。
- 現場での確認:撮影当日、同行者に、口頭または簡単な書面で、写真に写ること、掲載に使う可能性があることを伝え、希望がなければその場で伝えてもらう。
- 掲載するカットの選び方:同行者の顔がはっきり写っていないカット、後ろ姿や手元のカット、同行者の同意が確認できたカットを選ぶ。
- 未成年者:未成年の同行者が写る場合は、親権者の同意を確認する。申込者が親権者である場合も、その旨を確認する。
- ペット:動物自体は個人情報の本人にはならないが、飼い主の情報や、背景に写る他の人に注意する。
- 写り込み:会場や観光地で、他の利用者や通行人が背景に写る場合は、顔が識別できないカットを選ぶ。会場の個別ルールは会場・ロケ地・式場での撮影の確認事項で扱います。
お客様が同行者の同意を取らずに申し込むと、後から同行者本人が不満を述べる場面があります。そのときに、撮影会社が「お客様の同意があった」とだけ主張しても、同行者本人の同意があったとはいえません。申込時の案内、当日の確認、掲載カットの選び方の三つを組み合わせて、同行者の意思を尊重した記録を残しておくと、説明できます。なお、写っている人の容貌を無断で撮られたり公表されたりしない利益には、条文のある著作権とは別の、人格的な利益として保護される考え方があります(容ぼう等をみだりに撮影されない人格的利益について、最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決)。判断は個別の事情により異なるので、同行者が不満を述べたときは、まず掲載を止め、削除に応じる、という対応を原則にします。
撮影後の撤回と削除:窓口、期限、対応できない範囲
掲載を承諾した後でも、お客様や同行者が「やはり載せないでほしい」と言うことがあります。事情の変化(離婚、転居、職場の変化)や、気持ちの変化が理由です。個人情報保護法は、保有個人データについて、本人が、利用する必要がなくなった場合などに、利用停止等を請求できると定めています(35条5項)。また、法律に違反して取り扱われているときは、利用停止または消去を請求できます(同条1項)。同意の撤回の手続を、法律上の請求の有無にかかわらず、事業者の側で窓口を用意しておくのが一般的です。
削除の依頼があったときの対応で、決めておくことは次のとおりです。
- 窓口:申出の方法(フォーム、メール、書面)と、本人確認の方法。
- 期限:申出を受けてから、掲載を止めるまでの目安。「速やかに」「合理的な期間内に」だけでは、どれぐらいか分からない。「申出から○営業日以内に掲載を停止する」のように、運用できる期限を書く。
- 対象範囲:自社のホームページ、SNS、広告、手配先の掲載のうち、どこまで対応するか。手配先の掲載は、手配先に連絡して対応を依頼する、と書く。
- 対応できない範囲:すでに配布した印刷物、掲載期間中の広告で回収できないもの、第三者がコピーして転載したものなど。
- 通知:対応が完了したことを、本人に知らせる。
削除の申出を受けてからの、一般的な流れ
- 申出を受けた日本人確認を行い、対象の写真と媒体を特定する誰の写真か、どの媒体かを、申出の内容と照合する
- 受付後すぐ自社の媒体での掲載を停止する調査が必要でも、まず掲載を止める運用が、被害を広げない
- 停止後手配先に連絡し、手配先の掲載の停止を依頼する手配先が独立して使っている場合は、手配先の責任で対応してもらう
- 一定期間内削除できないもの(配布済みの印刷物、第三者の転載)を整理し、本人に説明する対応できない範囲は、先に規約で示しておく
- 完了後対応の内容を本人に通知し、記録を残す同じ依頼が繰り返されないよう、運用上の記録も残す
数値の期限は、運用できるものを個別に決めます。守れない期限を書くことのほうが、リスクが大きくなります。
「合理的な範囲で対応する」とだけ書くと、お客様は、いつまでに何をしてもらえるのか分かりません。逆に、「必ず削除する」と書くと、印刷物や第三者の転載まで約束したことになります。対応する範囲と、できない範囲を、分けて書くのが、バランスの取れた書き方です。
手配先が独立して使うとき:責任の主体と、手配先との取り決め
手配先が撮影データを自社の媒体に載せる場合、その利用は手配先自身の事業として行われます。撮影会社が手配先の利用の責任を負うのか、手配先が自己の責任で負うのかを、お客様への書面で明らかにしておきます。一般的な書き方は、「手配先は独立した事業者であり、自己の責任において写真を利用する」「手配先による掲載に関する問合せ・削除の依頼は、撮影会社が窓口になり、手配先に取り次ぐ」というものです。窓口を撮影会社に一本化すると、お客様が個々の手配先を探さなくて済みます。
一方、手配先との間でも、取り決めが必要です。お客様の同意のとおりに使うこと、同意の範囲を超えて使わないこと、第三者に再提供しないこと、削除の依頼があったときの対応、事故(流出など)が起きたときの連絡などです。この取り決めがないと、お客様に対しては「同意の範囲で使う」と約束していても、手配先が範囲を超えた使い方をしたときに、撮影会社が説明できません。
手配先との取り決めで確認する項目
- お客様が承諾した範囲(媒体・目的・期間・加工)と同じ範囲に限って使うこと
- 手配先が独自に加工する場合の限度(顔や体型の変形をしないこと)
- 第三者(広告会社、制作会社、他の事業者)への再提供の禁止、または承諾制
- 削除の依頼を撮影会社が受けたとき、手配先がいつまでに掲載を停止するか
- 撮影会社が提供したデータを、手配先が保管する期間と、期間が終わったときの削除
- 事故(流出、不正アクセス)が起きたときの連絡と、対応の分担
- 撮影者のクレジットの扱い(表示するか、省略するか)
手配先に渡すデータの形式も工夫の余地があります。原本の高解像度データではなく、掲載に必要なサイズに落としたもの、透かしを入れたもの、リンクによる共有で提供期間を区切ったものを渡す運用があります。これらは法律上の義務ではなく、再利用や流出のリスクを下げる運用上の工夫です。渡し方の取り決めは、手配先との契約書または覚書の中に、一文入れておくと安心です。
起きがちなこと
実績掲載の同意で起きがちなこと
- 撮影会社と手配先を一つの欄にまとめたため、手配先が掲載したと知ったお客様が、「そこまで同意していない」と述べる。
- 「宣伝目的で利用する場合がある」とだけ書き、媒体も期間も特定していないため、同意の有効性や範囲が争われる。
- 承諾しなかったお客様に、納品の内容や対応で差が出たように受け取られ、苦情になる。
- 同行者の顔がはっきり写ったカットを掲載し、後日、同行者本人から削除を求められる。
- 掲載の期間を「無期限」とした一方で、削除の依頼への対応は「合理的な範囲」とだけ書き、いつ止まるのか分からない。
- 手配先が、お客様の承諾した範囲を超えて広告に使い、撮影会社の窓口に問合せが集中する。
- 申込書、規約、同意書で、掲載の書き方が食い違い、どの書類が優先するかが分からない。
- 撮影者に確認せずに、撮影会社が手配先へ提供し、撮影者から許諾の範囲外だと指摘される。
よくあるご質問
撮影した写真を実績としてホームページに載せるとき、お客様の同意は必ず必要ですか。
顔が写る写真は個人情報にあたり(個人情報保護法2条1項)、利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱うには、あらかじめ本人の同意が必要です(同法18条1項)。実績掲載はサービスの提供に必須とはいえないため、同意を取る形にするのが一般的です。同意の取り方は、媒体・目的・期間・加工の範囲を特定して、選択式にすると、同意の内容を示しやすくなります。
衣装店や会場も載せたいと言っています。同じ同意欄にまとめてよいですか。
まとめないほうが安全です。手配先は独立した事業者で、写真のデータが渡れば第三者提供にあたる場合が多く、本人の同意が必要になります(個人情報保護法27条1項)。撮影会社による掲載と、手配先による掲載を別々の欄にして、お客様がそれぞれ選べるようにします。
掲載を承諾しないお客様には、納品や料金で差を付けてもよいですか。
差を付けない運用が基本です。差を付けると、同意が事実上の条件になり、自発的な同意といえるかが疑われます。掲載を対価にして料金を下げる場合は、モニター型として、通常の型とは別に、掲載の範囲と撤回の扱いを具体的に書きます。
新郎新婦以外の家族や友人が写っています。誰の同意が必要ですか。
顔が識別できる写真に写った人は、それぞれが本人です。お客様の同意だけでは、同行者の同意とはいえません。同行者本人(未成年者は親権者など)の同意が基本で、事前の案内、当日の確認、同意が確認できたカットだけを選ぶ運用を組み合わせます。
掲載した後に、お客様から削除を求められました。どこまで応じる必要がありますか。
保有個人データについては、利用する必要がなくなった場合などに、本人が利用停止等を請求できます(個人情報保護法35条)。規約で窓口と期限、対応できない範囲(配布済みの印刷物、第三者の転載など)を先に示しておき、申出を受けたら、まず自社の掲載を止め、手配先にも停止を依頼するのが一般的です。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の撮影サービスへの当てはめは、プランの内容や手配先との契約の仕組み、申込みの経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や契約を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会 / 文化庁